千里眼 / 松岡圭祐 (小学館文庫)
元自衛隊員のカウンセラーが、世間を賑わせている宗教団体(モデルにしたのはもちろんあそこでしょう)の陰謀を暴いていくサスペンス。設定と、それを最大限に生かしたラストはなかなか圧巻です。ある程度専門的な内容にも触れつつ、いろいろ小ネタを織り込んでいるのもよさげ。
でも、最後は「これをやりたかったから、この設定にしたかも…」と思ってしまいました。確かに実在の団体でも似たような設定がありましたけど、そう上手くいくんでしょうか。それはそれで逆に危険かも(^^;。
評価 ★★★
鳩笛草 / 宮部みゆき (光文社文庫)
こちらも短編集。何の因果か、他人と違う能力(いわゆる超能力)をもっている女性の生き様を描いた話です。その力にとまどう人、上手く使いこなしている人と様々。
確かに、この作者は『竜は眠る』とか超能力を題材にした小説をいろいろ書いてますから、設定として好きなのかも。表題作の『鳩笛草』は、こういう失う恐怖を書いたのって読んだこと無かったから、新鮮でした。
評価 ★★★★
家庭「外」家族 / 椎名篤子 (集英社文庫)
精神を病む事で、体の不調を起こしてしまう児童を診察する、児童精神科医の奮闘を綴ったもの。ノンフィクションなのですが、こんな事が本当にあるんだなぁと驚かされる内容ばかりです。
と言うか、何で最近こんなの読み始めたのかな~と思う事が時たまあるんだけど、やっぱりこれは自分の中に「私もそうなんだ~」って納得したい気持ちが出てきたのかも。こういうのを吸収して、自分を再構成してる気分です…って本の内容とは関係ないか。
ノンフィクションだからなのかもしれませんが、、最後まで解決していない話まで載ってるのは止めてくれ~って感じ。犯人がわからない推理小説みたいで、この後どうなったか目茶気になるんですけど。
評価 ★★★★☆
世紀末の作法 / 宮台真司 (新潮文庫)
この筆者が、少し前にいろいろな媒体で書いている文章を、テーマ別にまとめたような本。社会学者なので前から何度か文章は読んだ事があって、何から小難しい文章(と言うか、私が理解出来ないだけ?)を書く人だなぁと思ってました。…が、これは昔のことを書いていたので、それなりに理解できました。
今読み直すと、「そうだったなぁ~」と思い返せるけど、当時にこういう意見を出せるってのは、密かに偉いのかも…って。
評価 ★★★★