Pentium2(SL2W7)
K6-2を買ったものの、肝心の3DNow!は対応したソフトもあまりなく、期待のDirectX6も大きな変更はなされず、これならSlot1に変えた方がよかったかなと思っていた頃に、出てきたのが2次キャッシュ無しPentium2のCeleron。
2万円そこそこのこれが、クロックアップによって400MHz以上で動き、同クロックの10万円近くするPentium2と同じ性能を発揮するっていうんだから、ますますK6-2に取っては分が悪くなってきました。3DNow!は、理論的に速くても実際に体感できるのはUnrealやWinAMPぐらいしかない状態ですし。
と言うのは、最初のPentium2は0.35µmプロセスで作られて、コアの電圧は2.8Vでした。しかし、333MHz版からはDeschutesと呼ばれ、高クロックでも動くように0.25µmプロセスで作られていて、コアの電圧も2.0Vまで下がりました。そして、今の450MHzまでは同じプロセスで作られています。
今でも、Pentium2/266MHz、300MHzは少量作り続けているのですが、そのためだけに0.35µmプロセス用の工場を動かすのは効率がよくありません。そこで、0.25µmプロセス用の工場で、Pentium2/266MHz、300MHzが作られることになり、その結果出来たのが、このような新しいPentium2/266MHz、300MHzです。
しかも、これには現在最高速のCPUであるPentium2/450MHzと同じものが使われていて、その性能に期待が集まりました。すると、期待通りにオーバークロックが出来ることがわかり、あっという間に争奪戦に。そんな中、私がようやく手に入れることが出来たのが、このPentium2/266MHz(SL2W7)です。値段は34800円でした。
試しに、Ctp2infというソフトを使ってみることにします。これは、Pentium2の種類を調べるソフトです。
CPUID | GenuineIntel, Typ=0, Family=6, Model=5, Step=2 |
Processor Core | Pentium II, Deschutes |
L1 Data Cache | 16 KB, 4 way associative |
L1 Code Cache | 16 KB, 4 way associative |
L2 Cache | 512 KB, 4 way associative |
L2 Cacheable Area | 4096 MByte |
L2 ECC | present and enabled |
Actual clock rate | 267.3 MHz |
System clock rate | default: 66.6 MHz, measured:66.8 MHz |
Ratio (cpu/syst) | 4.0 |
ctP2info has detected | Pentium II 267.3 MHz with ECC |
すると、266MHz版なのに2次キャッシュがECC付きになっていますし、Deschutesと判断されています。CPUIDが6・5・2ってのはPentium2/450MHzと同じです。また、マザーボードで自動設定されたコア電圧も2.0V。間違いなく0.25µmで作られていますね。また、クロックの倍率を変えても4倍の設定にしかなりませんから、倍率固定である点もPentium2/450MHzと同じでした。
Abit BH6
さて、Pentium2を買ってしまったので、それに対応したSlot1のマザーボードが必要です。もちろん、外部100MHzに対応している440BXのを買うことにしました。
そこで、どれを買おうか考えて、条件として、(1)CPUクロックをマニュアルでいろいろ設定可、(2)PCIバスは5本、(3)外部クロック133MHzに対応、と言うのを決めました。そうなると、これを満たしているのは、ABITのBH6、AOpenのAX6BC、SOYOのSY-6BAぐらいでした。ASUSのP2B-Eはまだ出ていませんでしたし。
で、BH6は最近でた物なので見たことありませんでしたし、SY-6BAは、私が以前同じSOYOの5XA5という430TXなマザーボードを使っていて、BIOSを飛ばした事がある(このSY-6BAも飛びやすいという噂が…)のでパス。AX6BCはFDコネクタがI/Oコネクタの下にあって、ケーブルをAGPカードとPentium2をまたぐ様に配置しないといけなかったんで、そのレイアウトが気に入りません。
で、これというのが無いんで定番だけどオーバークロックに強いASUSのP2Bにしようと思ったんですけど、これがちょっと高いんですよ。これもブランドかと思いつつ、店をぶらぶら見て回ると、まだ無いと思っていたABITのBH6を見つけてしまいました。上で書いた不満点もこれにはになかったので、結局これを買いました。
ベースクロックは自動で設定できますし、手動の場合ベースクロックは66.75.83.100.112.124.133MHz、倍率も5.5倍まで設定できます。また、AGPのクロックをCPUに同期させるか、2/3にするかも設定できます。そして、440BXのマザーボードでこのBH6とBX6にしかないのが、Pentium2のコア電圧を設定できる点です、1.3~2.3Vですけど、オーバークロックする時にもちょっといじりがいがあります。
また、このABITのマザーボードの特徴として、ジャンパーピンでの設定が殆ど必要ないという点があります。このBH6でも同じで、あるのはCMOSの内容について変更可/不可の1つだけで、これも通常触る必要が無いものです。上に書いたCPU関連の設定も、CPU SOFT MENU 2と呼ばれるもので、BIOSの設定画面ですべて変更できますから。あの、コードの中に手を突っ込んで、小さなスイッチやジャンパピンをいじる必要が無いってのは、思っている以上に便利でした。
ベンチマーク(2D)
さて、この2つを使ってオーバークロックに挑戦です。電圧を全くいじらない状態で、112*4の448MHzまですんなり上がりました。ちょっと不安定になりやすい気もしますけど、ノーマルでここまで行ったら立派なもんです。
で、以前の状態と比較してみることにします。まずはHDBench Ver2.65。条件は殆ど同じで、1024*768*16bit、DirectX6、G200での結果は次のようになりました。
浮動小数点 | 整数演算 | 短形 | 円 | テキスト | スクロール | DirectDraw | READ | WRITE | Memory | ALL | |
K6-2/300 | 18668 | 23231 | 39581 | 2215 | 19778 | 2924 | 49 | 9342 | 9560 | 11417 | 15662 |
Pentium2/266 | 21469 | 17083 | 47071 | 3348 | 19801 | 2925 | 49 | 9175 | 9483 | 13875 | 16294 |
Pentium2/448 | 36166 | 28727 | 47038 | 5561 | 19774 | 2931 | 49 | 9293 | 9603 | 23375 | 19887 |
これを見ると、CPUの特性はよく判ります。整数演算の強いK6-2と、浮動小数点の強いPentium2が。また、2D表示では、短形と円で、クロック的には遅いはずのPentium2/266の方がK6-2/300の方が速いですね。他の部門では大差はありません。殆ど結果の変わらないのは、ビデオカードの性能自体が頭打ちになっているのかも知れませんね。
ベンチマーク(3D)
次は、Final Realityの場合です。これもG200を用いています。
25 Pixelが異様に速くなっていますけど、他はそんなに変わりません。やはり、こういうのはPentium2が強いですね。busの転送速度が速くなっているのは、よく判りませんけど。
そして、これが総合結果。2DでPentium2/266がすこし落ち込んでいますけど、他はかなり伸びています。全て倍近くなっていますからね。
次に、MotoRacer2(DEMO版)で、オフロードコースのFLYING JUMP(DAY)で、後方視点からまったくバイクを動かさずに、COM車が全て走り去ったときのfpsを計測しました。こちらでは、Voodoo2を用いています。
途中まではCPUの性能通りの差が出ていますけど、800*600になるとそんなに差はつきませんね。これは、ビデオカード自体の性能が頭打ちになっているのだと思われます。逆に、K6-2の場合はCPUの遅さのせいで、fpsもあまり速くありません。
とまぁ、やっぱりゲームだとPentium2は速いですね。ただ、普通のアプリケーションを使っている場合はそんなに差は出ませんから、K6-2でも十分でしょう。クロックアップで倍近く速くなるっていうんだから、全く(^^;。