1.導入編
さて、K6も順調に動いていたのですが、コアの電圧が定格より0.1V高い事やK6自体の特性もあって、その発熱もかなりのものでした。また、そのころパソコン自作系のホームページを回っているうちに、ジャンパーを差し替えたりするだけで(上手くいけば)性能アップできる、いわゆる禁断の秘技・クロックアップについていろいろ知るようになりました。そうなると、だんだん挑戦したくなってきたのです。
しばらく悩みましたが、結局交換することにしました。マザーボード自体も2万円ほどしかしませんし、CPUを買い換えることを考えれば安いもんです。当時使っていたこのマザーボードにもいい点はあったんですけど、あえて無視。
そして、問題になったのはPCIチップセットです。430HX(Triton2)で外部75,83MHzに対応しているのはATマザーしかありません。うちはATX用のケースですから、どうしてもATXマザーを買う必要がありました。結局、430TXかVIAのVP2のどちらかということになります。Win95にはすでに430HX,TX用のバスマスタドライバを入れていたので本命は430TXだったのですが、これには2次キャッシュの適応範囲が64MBという最大の欠点があります。私はすでにメモリを64MB使用していて、これ以上の増設は2次キャッシュの範囲外と言うことを覚悟して行わないといけません。VP2だとこの64MBの壁は無くて、2次キャッシュが1MB(430TXは512KB)のものもあり、外部は75MHzまででしたがこの2次キャッシュの多さは魅力的でした。
他に、SDRAMやU-ATAが両方とも使えたのですが、SDRAMはまだそんなに欲しくはありませんでしたし、U-ATAにするぐらいならUltra-SCSIにしましたから。
結局買いに行く前もインターネット上で情報収集して、いざ日本橋に行っても店の前で延々悩んでいました。430TXにするのは日本橋に行ってから決めましたし、同じ様な機能のマザーボードが出ている中で、どれがいいのかも悩みました。さすがに外部83MHzに対応しているのは3種類ほどしかなかったんですけど、結局買う物を決めてから、他の店を回っていたとき、ソフマップで見かけたこのマザーボードに惹かれました。今まで見つけた中で一番設定項目が多くて、値段は殆ど変わらなかったんです。ただ、このマザーボードのコネクタはダブルデッキ(2列型)でした。私のマザーボードにはシングルデッキ(1列型)用の穴が開いていて、ダブルデッキ用のは付属していなかったんです。
ダブルデッキ用の板だけで売っているのは知っていたので、それを買って何とかしようと思って、結局そのマザーボードを買いました。レジの店員も「ケースに合うかどうか分かりませんよ」とと言われましたが、ダメなら開いたまま使うのみです(^^;。
早速、電源をON…入りません。スイッチを押しても何にも反応しないではありませんか。コンセントは刺さっているのを確認してもダメ。試しにスイッチケーブルの+-を逆にしてみると、すんなり電源が入りました。あとはHDのアクセスランプにも極性がありましたっけ。以前のマザーボードとは名前が違う部分もあって、その点では少し迷いました。
Win95もきちんと起動したのですが、PCI関連で430TXの部品を認識できない問題が発生しました。その点は、付属のFDについてきたソフトで対応できましたけど。Win95がOSR2なら大丈夫らしんですけど、うちはOSR1でしたから。
さて、次は問題のクロックアップ。設定できる周波数は、このようになります。
*1.5 | *2.0 | *2.5 | *3.0 | *3.5 | *4.0 | *4.5 | |
50MHz | 75MHz | 100MHz | 125MHz | 150MHz | 175MHz | 200MHz | 225MHz |
60MHz | 90MHz | 120MHz | 150MHz | 180MHz | 210MHz | 240MHz | 270MHz |
66MHz | 100MHz | 133MHz | 166MHz | 200MHz | 233MHz | 266MHz | 300MHz |
75MHz | 113MHz | 150MHz | 188MHz | 225MHz | 263MHz | 300MHz | 338MHz |
83MHz | 125MHz | 166MHz | 208MHz | 250MHz | 290MHz | 332MHz | 374MHz |
いつも使っているのが66MHz*3.5の233MHz(黄の部分)ですから、それ以上になればいいわけです。
まず、このCPU自体に4倍の設定自体が無いことが分かりました。マザーボードで4倍以上を設定しても、強引に2倍の設定にされてしまいます(Pentium200でも同じ)。だから、4倍速以上の設定(赤の部分)は使えません。
CPUの電圧はとりあえず3.2Vのままで次に、83MHz*3.5の290MHz(オレンジの部分)の設定にしてみました。すると、パソコンの電源自体が入りません。電圧を3.3Vにしても同じでした。これもダメです。
次に、75MHz*3.5の263MHz(紫の部分)にしたのですが、こちらはBIOSの認識中に止まります。CPUはファンごとかなりの高温になっていて、熱暴走しているようです。
次は、83MHz*3の250MHz(水色の部分)。こちらだと何とかWin95が起動する事もありますが、かなり不安定です。すぐにエラーが出ますし、途中でVFAT保護エラーが出て止まることも多いです。また、75MHz*3の225MHz(同じく水色の部分)は特に問題ないようです。この設定だとCPUのクロックは殆ど変わりませんし、外部クロックが上がっているためPCIバスのスピードも上がっていて、233MHzよりも早いという結果も出たりします。
とりあえず、今回の限界は250MHzのようです。この当時が9月下旬だったこともあり、結構熱かったですし、やはり最大の問題は熱望走のようですね。この問題さえクリアできれば250MHzで安定動作できるかも知れませんけど。電圧を3.5Vにあげるという手もあったんですけど、あまりの熱に躊躇してしまいましたから(^^;。
2.後日談
これから4ヶ月後に、またもや250MHzに挑戦してみると、冬になって気温が下がっていることもあり、今回は問題もなくすんなり行きました。しばらく使っても安定していたのですが、やはりエラーは出やすく、また元に戻すことに。いろいろ増設もしたので、メモリアクセスの設定を最速にするとSCSIカードを認識しなかったのですこし落としていました。とりあえずベンチマークを取っていたので、参考に掲載します。
まずは、Wintachから。
Wintach Ver1.2 | Word Processing | CAD / Draw | Spreadsheet | Paint | Overall |
225MHz(70ns) | 179.6 | 1681.4 | 845.72 | 860.97 | 891.92 |
225MHz(60ns) | 179.6 | 1675.57 | 869.06 | 863.33 | 896.89 |
233MHz(60ns) | 167.42 | 1767.32 | 893.64 | 829.74 | 914.53 |
250MHz(70ns) | 187.18 | 1760.87 | 869.06 | 931.32 | 937.11 |
250MHz(60ns) | 188.62 | 1760.87 | 893.64 | 931.32 | 943.61 |
これはほぼクロック順の結果が出ていますね。強いて言うならWord ProcessingやPaintで233MHzの場合が一番遅いのは、やっぱり外部クロックの差によるんでしょうか。
次はHDBENCH。最新版を使っています。
HDBENCH Ver2.51 | 浮 | 整 | 短 | 円 | Text | Scroll | DD | Read | Write | ALL |
225MHz(70ns) | 13333 | 16165 | 31716 | 15058 | 10960 | 147 | 3 | 9283 | 9624 | 13285 |
225MHz(60ns) | 13337 | 16165 | 31789 | 15294 | 10901 | 147 | 3 | 9291 | 9624 | 13318 |
233MHz(60ns) | 13857 | 16802 | 31687 | 14895 | 10956 | 147 | 3 | 9333 | 9614 | 13411 |
250MHz(70ns) | 14817 | 17963 | 31996 | 16643 | 11520 | 147 | 3 | 9351 | 9578 | 14002 |
250MHz(60ns) | 14818 | 17964 | 31998 | 16549 | 11589 | 147 | 4 | 9216 | 9490 | 13971 |
こちらもほぼクロック順ですね。円ではやはり233MHzが一番遅いんですけど、これはほぼ誤差の範囲でしょう。ちまたで言われているような、233MHzと225MHzの性能差の逆転は見られませんでしたね。
と言うわけで、マザーボードまで交換して行ったクロックアップ。現時点では失敗…というか現状維持のままです。まぁ、これでその後のパワーアップの方向性が決まったので良かったのかも(^^;。